DIGOIN & SARREGUEMINES
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ディゴワン&サルグミンヌの紹介
サルグミンヌは、フランス東部アルザス地方、ドイツ国境に隣接するサルグミンヌで1790~2007年の2世紀にわたり製造された陶窯ブランドです。
産業革命、フランス革命、普仏戦争、第一次&第二次世界大戦…。歴史の渦にのまれながらサルグミンヌも幾度となく移転や経営統合を重ねました。
2007年には惜しまれながら経営破綻のため廃業しましたが、近代産業発展期に栄華を誇った優美で繊細な作品は、今でもヴィンテージ食器として世界中のコレクターを魅了しています。
ディゴワン&サルグミンヌの始まりは1790年。ニコラス・アンリ・ヤコビと2人の共同経営者によってサルグミンヌの町に最初の製陶工場が設立されました。
革命運動のさなか立ち上げた小さな家族経営の製陶工場は、住民の反発や原材料の供給不足などから経営が立ち行かず、1800年、バイエルン出身のドイツ人芸術家、ポール・ウッツシュナイダーに工場を譲り、社名も「Utzschnieder & Co」となりました。
ウッツシュナイダーに譲渡後、ようやくサルグミンヌの経営は軌道に乗りました。
ウッツシュナイダーの独動的な装飾技法の導入と優れた経営手腕によって、サルグミンヌは世界に知られるブランドとなり、皇帝ナポレオン、ブルボン王朝をはじめ多くの顧客獲得に成功します。サルグミンヌはパリの地下鉄建設時、ナポレオンより壁タイルの大部分をまかされました。
1836年、ウッツシュナイダーが引退し、義理の息子であるアレクサンドル・ガイガーに工場を譲った後、1838年にはドイツのビロレイボッホと資本協力を始め、工場はさらに成長しました。
当時、サルグミンヌのプラントは薪オーブンであったことから、燃料となる木材のための森林破壊に対して抗議が表明され、この抗議と需要の拡大は、蒸気機関を用いた石炭オーブンプラントへの切り替えをもたらし、生産能力の向上に成功しています。
1871年にはアレクサンドル・ガイガーの息子ポール・ガイガーが新監督に就任しました。
ポール・ウッツシュナイダー、アレクサンドル・ガイガー、ポール・ガイガーによって、サルグミンヌの町にファイアンス焼き産業の発展をもたらしたのです。
19世紀、サルグミンヌは数多くの皿、花瓶、植木鉢、壁のフレスコ画、暖炉などを製造しました。
1870年普仏戦争が勃発し、順調だったサルグミンヌ窯は大きな岐路に立たされました。
普仏戦争でのフランス敗北後、フランクフルト講和条約によって、ドイツとの国境にあるフランス領モゼル県一帯はプロイセン(現在のドイツ)領に併合されることになったのです。モゼル県はサルグミンヌの町がある地方でした。
さらにドイツからフランスへの輸出品には大きな課税も決定されてしまいました。
難局に直面したポール・ガイガーは、フランス籍を守るために、サルグミンヌの運営会社「Utzschnieder & Co」をドイツ籍の「Utzschneider&Cie(= U&C Sarreguemines)」とフランス籍の「Digion et Sarreguemines」、2つの会社に分割しました。
このとき、「Digion et Sarreguemines」の窯は、フランス・ブルゴーニュ地方のディゴワン(Digoin)とヴィトリー・ル・フランソワ(Vitry-le-Francois)の2ヶ所に新設されました。
その後、1881年にサルグミンヌは全ての会社を再び統合し、商号も「Faienceries de Sarreguemines Digoin et Vitry-le-Francois」と改めています。
さらに1913年のポール・ガイガー没後、ドイツ部門の会社「La Societe Utzschneider et Compagnie」と、ディゴワンとヴィトリー・ル・フランソワを運営するフランス会社「Les Etablissements ceramiques Digoin, Vitry-le-Francois et Paris」の2つに分割されました。
ディゴワン&サルグミンヌは、第一次・第二次の世界大戦中も経営を統合したり分離したりと紆余曲折しながら徐々に経営は下降していき、最終的に1978年、リュネヴィル・バドンヴィレ・サン・クレマン(Luneville Badonviller Saint Clement)に買収され、翌1979年には食器製造が廃業されました。
買収された後もセラミックタイルの生産は行われましたが、2007年2月、ついには破産宣告を受け、2世紀続いたディゴワン&サルグミンヌの歴史に終止符が打たれました。
残念ながら工場は残されていませんが、サルグミンヌの町には陶器博物館が残され、栄華をほこった美しい作品やディゴワン&サルグミンヌの歴史が紹介されています。
また、ディゴワン&サルグミンヌの一部のパターンは、リュネビルで現在でも生産されています。
ディゴワン&サルグミンヌには多様な製品が生み出されましたが、日本では食器、特にカフェオレボウルがコレクティブルアイテムとして人気が高いです。